THE DARKSIDE OF THE MOON

きっかけは、ある時みた、母娘の二人連れの後ろ姿でした。

どちらも、ピッタリしたTシャツを着ているのですが、あまりにもシルエットが

違い過ぎるのです。

母に比べて、娘の方が、背が高く、間接が細く、頭が小さく、胸郭（肋骨の事）の断面も、円に近い。

同じDNAに由来する人が、ここまで容姿が違うものか。　とショックを受けたと同時に、ある妄想を抱きました。

人の身体は、食べ物、生活環境だけでなく、「精神の力」でも変化するのではないか？　

オカルティックな妄想です。でも、それは、「現実」で有ると言う事にも気付きました。

世の中は、化粧、ダイエット、ファッションの情報で溢れかえっています。

ボディービルでは、身体にとって危険なホルモン剤を摂取し、美容整形や、タトゥ等の外科手術までし、もはや「肉体改造」の域に達していると思います。

全ては、「自分のイメージする、理想の容姿に近づける為」です。

自然界にも、異性へのアピールの為に、その身を飾り立てる動物はいますが、

自分の為に、しかも、時に命を危険にさらしてまで、自分の容姿にこだわるのは

「人間」だけです。

でも僕は、そこに「人間らしさ」を感じます。

ただ生きて、子孫を残すだけでは満足しないのが、「人間」と言う生き物だからです。

この考えは、小さな人型の作品に落とし込むには、うってつけのモチーフだと思いました。　

人形も、「理想の身体のイメージ」を追い求めるフィクションだからです。

シリーズ名の由来は、

身体、精神、狂気、から、「月」を連想し、

隠された部分を表現する為に、「月影」「月（のフォント裏焼き）」等、

「月の裏側」を上手く言い表せる言葉は無いだろうか？と思案していた時に、

友人である、プログレ音楽好きの彫刻家、馬渕洋氏が、

「それやったら、『THE DARKSIDE OF THE MOON』はどう？」

と言った事で、決定しました（笑）。